ありふれた風景の神秘化 阿加井秀樹
阿加井秀樹です。
みなさんこんにちは。
ジャン=バティスト・カミーユ・コローは19世紀の4分の3を生き、次世代の印象派との橋渡しをした画家と言われています。
詩情あふれる風景画で有名ですが、「真珠の女」のような人物画にも傑作があります。
1825年から計3度イタリアを訪れ、イタリア絵画の明るい光と色彩にも影響を受けたといいます。
理想化された風景でなく、イタリアやフランス各地のありふれた風景を詩情豊かに描き出す手法を得意としていて、
のちの印象派の画家たちにも大きな影響を与えたとされています。
ルーブル美術館に所蔵されている3作品を紹介します。
「モルトフォンテーヌの想い出」
代表作ですね。先に説明した風景を詩情豊かに書き出す手法ではなく空想的風景画の代表作です。
ヤドリギの実や花を摘もうとしている3人の人物を描いていて、1864年のサロンに出品され、ナポレオン3世が購入し、ルーヴルの所蔵となりました。
斜めに傾いた樹木は他の作品でも度々見られていて、樹木が舞台の幕のように使われる構図法にはオペラ座の舞台美術の影響があるとされています。
「青い服の婦人」
この絵を書いたときコローは78歳でした。
死ぬ一年前に施策されたこの肖像画はまだ神秘的な力を持っているとされています。
「真珠の女」
コローが独自に描いたモナリザです。かつては、女性の額に見える葉が真珠だと考えられていたため、
真珠の女という名前がついています。
モデルの女性が来ている服はコローが海外旅行から持ち帰ったイタリアのドレスを着ています。
モナリザと特徴がかぶることから、コローが何を考えていたのかはわりませんが、
なんかしらの意図があったことは間違いなさそうですね。
絵に秘められた作者の意図を考えるのも鑑賞の醍醐味ですね。
それでは、また。
阿加井秀樹