『リュートを弾く若者』について
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
今回みなさんに紹介する絵画はあまり馴染みのない作品ですが、とても繊細で見ているものを魅了する私、阿加井秀樹も好きな作品の一つです。
彼の名前はカラヴァッジョと言います。カラヴァッジョと聞くと一度聞いたことがある人だなと思う人もいるかもしれませんが、その中の傑作『リュートを弾く若者』という作品です。
この作品には初期様式によく見られる譜面やヴァイオリン、水差し、生け花、果物などの静物が配され、また主題となるリュートを弾く若者は虚ろ気にこちらを見つめ、その手はリュートを奏でており、その表現はいずれも圧倒的なリアリズムが示されています。
絵画の中心であった宗教画と、本作のような風俗画の二種を描くことを試みていたローマに到着して間もないカラヴァッジョの青年期の作風は、青年又は少年を思わせる若々しい男子に、病的にも思える虚実な表情を浮かべて描かれており、これは画家の内面を示すものとして捉えられています。
カラヴァッジョのこの年代の多くの作品がどこか同上人物が闇を抱えているかのような虚ろな目をしていることが多く、それがまた、この年代らしい思春期とも言えるのでしょうか。
これはこの絵を見た方それぞれの捉え方がある面白い作品ですね。
それではまた。
阿加井秀樹