「炎舞」
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
今回ご紹介する作品は速水御舟の炎舞です。
真っ赤な炎にカラフルな蛾が群れ飛ぶ、幻想的な世界観をリアリスティックに描いた日本画です。赤い炎が映える背景の黒く深い闇について速水御舟は、「もう一度描けと言われても二度と出せない色」と語っているほどです。想像上の絵にも関わらずどこか狂気や力強さを感じさせるのは、実際に写生したという蛾の描写の細かさによるものかもしれません。
他にない世界観と確かな表現技法が結実して生まれたこの作品は、国の重要文化財に指定されています。速水御舟は、40歳という若さで病気のため亡くなりましたが、残した名作は多く、炎舞以外にも重要文化財に指定されているものもあります。
東京を拠点に活動していた速水御舟の作品で、特に初期作品の中には、残念ながら関東大震災などで焼失してしまったものもあります。こちらの演舞は山種美術館で鑑賞することもできますので是非足を運んでみてください。
それではまた。
阿加井秀樹