阿加井秀樹が読み解く緑のすじのあるマティス夫人
みなさんこんにちわ
阿加井秀樹です。
本日は20世紀前半を代表するフランスの画家アンリ・マティスについて。
顔の真正面が緑色に塗られています。
向かって右半分は薄い赤色、左半分は薄い黄色、髪は濃紺、背景の右半分は緑、左の上半分は紫、左の下半分は赤とさまざまな色が使われており、
現実とは違う色使いです。
それから色面は、べったりとした平面的。
筆跡は、筆の動きがわかるほどはっきりと残っています。
細部は、お世辞にも丁寧とはいえない塗り方だと思います。
これらは、現実離れした色使い、遠近法の無視、粗雑な筆致、大胆なデフォルメ...とんでもない絵とも言えます。
なぜマティスはこのような色使いをしたのでしょうか。
マティスは、特に色彩については、ただ単に現実らしく見えるように使うのではなく、色彩それ自体に表現する力があるとみなしました。
とりわけ、人間の内的感情や感覚を表現するのに色彩は重要で、
色彩の組み合わせ次第で見る人は静かな印象を抱くこともあれば、
激しい印象を抱くこともあり、
色彩の自律的な世界を追究した結果だといわれています。
つまりは、マティスは現実を正確に描くつもりは毛頭なかったわけです。
現代アートを伝統的な見方で見ようとしなければ「ん?こういうのも面白いかもしれないな」と興味がわくかもしれませんね。
それではまた。阿加井秀樹