阿加井秀樹です。
みなさんこんにちは。
前回富嶽三十六景の神奈川沖浪裏について解説しましたが
その中で富嶽三十六景は46作品あるとも書かせていただきました。
なぜ三十六景なのに46作品もあるのか?と疑問に思いませんでしたか?
実は当初36作品で出版されましたが非常に好評であったために後から
10作品を追加して最終的に46作品に落ち着いたそうです。
当初の36作品を「表富士」といい追加の10作品は「裏富士」と呼ばれています。
そして富嶽三十六景は題名にあるように富士山をすべて取り上げています。
46作品のうち東京で18作品、神奈川で7作品、千葉で2作品、静岡で6作品
茨城で1作品、山梨で6作品、長野で1作品、愛知で2作品と計46作品になります。
前回お話した神奈川沖浪裏と並んで有名なのはいくつかありますが
その中でも私、阿加井秀樹のなかでも好きな作品は
「凱風快晴」という作品です。
名前は聞いたことないが絵を見てこれ知ってる!という人は
多いのではないでしょうか。
凱風とは南風のことです。
雄大な富士の山容とたなびくイワシ雲は気高く臨場感が感じられます。
夏から秋にかけての晴れた日の早朝、富士が赤く染まる一瞬があることを
江戸時代の日記では驚いたというように記録しているものが多くあります。
北斎もその瞬間に感動しこの作品を描いたのでしょう。
力強く一日の始まりを告げるかのようなこの作品は藍色のぼかし摺で青い空を背景に
赤々と燃焼しているのように染められた富士の山頂には雪が残り、立体感を
表しています。これは通称「赤富士」とも呼ばれています。
葛飾北斎は「青色」の使い方が天才的だとは思いますが
この作品では燃えるような深い赤と徐々に薄くなっていく「赤」のコントラスとは
感動すら覚えます。
ではまた。
阿加井秀樹