阿加井秀樹です。
みなさんこんにちは。
南ブランスのアルビで生まれました。
トゥールーズ=ロートレック家は伯爵家であり、
祖先は9世紀のシャルルマーニュ時代までさかのぼることができるほどの名家でした。
そんな家に生まれたロートレックは、幼少期には「小さな宝石」と呼ばれ,家中から可愛がられて育ちました。
しかし、弟が夭折すると両親が不仲となり、8歳のときには母親と共にパリに移住しました。
絵を描き始めたのはその時からです。
すぐに母親は彼の才能を見出し、父親の友人の画家からレッスンを受けるようになりました。
その後、近親婚による遺伝子疾患から病気を患ってしまい、不自由な生活を送りました。
自身が身体障害者として差別を受けていたこともあってか、娼婦、踊り子のような夜の世界の女たちに共感するようになりました。
そして、彼女らを愛情のこもった筆致で描き始めたことが「ムーラン・ルージュ」のポスターを生み、
ポスターを芸術の域にまで高めた功績でも美術史上に特筆されるべき画家とされています。
鑑賞者の視線をダンサーに集中させるため、それをとりまく群衆は小さなシルエットとして描かれています。
これは当時、流行していた日本の浮世絵を想起させています。
「ムーラン・ルージュ」という3回繰り返し描かれたクラブ名は、その下のラ・グーリュへと鑑賞者の視線が向かうよう構成されていて、
いくつかの線が描かれただけの彼女のペチコートの純粋な白は、当時多かった文字だらけのポスターを強烈に打ち破る大胆でシンプルな画家のスタイルを表しています。
はっきりと明確なコンセプトや意図があり、それがわかりやすく伝わってきますね。
それでは、また。
阿加井秀樹