みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
これまでいろいろな作品を取り上げてきましたが、ゴッホの作品についてあまり触れていなかったので、今回はゴッホの作品に触れていこうと思います。
言わずと知れたゴッホの「ひまわり」は、1888年の作品です。ゴッホにとって向日葵という花は、南仏の良き思い出を象徴するものだったとされています。ゴッホは激情家としても知られており、精神を病んで精神病院にも入院していました。入院してからは、実は向日葵の絵を描かなくなったそうです。
しかしあの花びらも散り、ほとんど枯れかけた向日葵の絵を見て、あれが良き思い出の象徴だと感じる人は少ないのではないでしょうか。
少なくとも私、阿加井秀樹には、むしろ暖かく穏やかな日々の中で、崩壊寸前のギリギリの精神状態を表しているように見えます。
南仏の幸福な日々を風景によってよりも儚い花を描くことで、その中で最後まで自分を保とうと苦しんだゴッホの心を表しているように感じます。それゆえに、この花がいつまでも私の中で枯れずに、力強く焼付きます。
それでもゴッホのひまわりから灼熱の太陽を感じ取ることが出来るのは、ひとつは既存の油絵のルールを無視した技法にあります。
ゴッホは油絵の絵の具が乾ききる前に、絶妙なタイミングで色を重ねています。そのため微妙に色が混ざり合い、視点の定まらない、蜃気楼のような熱を描くことが出来ています。
さらに、ゴッホはこの絵一枚を描くのに白い絵の具を何本も使ったそうです。向日葵を育て、そして枯らしていく強い夏の日差しを、白を多用することにより表現しているのかもしれません。
「ひまわり」はゴッホの、あるいは人間の狂気にも見える純粋な情熱を見事に表した不朽の名作だと思います。
ではまた。阿加井秀樹