みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
前回は尾形光琳の作品をご紹介致しましたが、今回も国宝レベルの作品をご紹介致します。尾形光琳が手がけた屏風絵の傑作のひとつ、重要文化財『竹梅図屏風』についてです。
竹梅図屏風は宋代より始まる中国文人画で好まれた画題のひとつ歳寒三友(さいかんのさんゆう)、松・竹・梅のうち、竹と梅を描いた作品で、遅筆で力強く描かれた凛と天に向かい伸びる竹の姿の表現と、速筆で軽やかに描かれた素実な梅の表現は、画面において対照的でありながらも紙本金地着色の余白を存分に活かし、極めて高度な統一性を感じます。
このような光琳の表現手法によって表現される、豪華かつ装飾的でありながら、上品で優美な雅性や、ある種の静寂性・思想性をも感じさせる独特の世界観によって観る者を圧倒します。
歳寒三友とは、寒中にも色褪せないこと、また寒中に花開くことから、冬の寒さに堪える三種の植物として精錬潔白・節操という、文人の理想を表現したものとされるも、室町時代に伝わり、江戸時代に庶民の間でも流行した日本では、喜び祝うに値する様や美しい様を表すものとして解釈・表現された画題で、今日の日本において最も親しまれる画題のひとつとして、深く人々の生活・文化に根付いています。
それではまた。
阿加井秀樹