「自画像」のいろいろ
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
今回は美術品でも多く存在する「自画像」についてご紹介したいと思います。
自画像は、作者自らを対象とした肖像で、普通は絵画の形式であることが多いのですが、中には自らを刻んだ彫刻や自らを写した写真など他の手法が使われることもあります。
古代の芸術作品では、芸術家自身の姿は古代エジプト壁画や古代ギリシアの壷の絵柄などに現れています。
そのように、肖像画は古くから存在しましたが、神仏や社会に仕える存在だった画家が自らの姿を描くようになったのはそう古いことではないようです。
例えば、古代ギリシアの彫刻家ペイディアス。彼は、アテナ像の持つ盾の模様に自身の姿を紛れ込ませて、不敬罪に問われたと言われています。
西洋ではルネサンス期以降、画家や彫刻家は宗教画の群集の一部に自らを紛れ込ませたり、人物画のモデルとして自分自身を使うなどおずおずと自分自身を描くようになりましたが、それ以後の16世紀から17世紀にかけては、自画像は公然となり美術の重要なジャンルとなっていきました。
自らの姿を宗教画にまぎれさせていたころは、自画像を隅に描く目的は、画家自らの謙虚さを表すことだったようですが、その後は自らの姿をさらすことへの恥じらい、あるいは画家の虚栄心や自己愛や地位誇示の反映となっていきました。
さらに自画像が盛んになると、自分の客観視を通じた自己探求や自分の理想化、自己の内面や存在の表現などが目的となり、自画像の意味合いは時代時代で変わってきたそうです。
それではまた。
阿加井秀樹