『出現』
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
先日ご紹介したギュスターヴ・モローの作品について今回はご紹介していきたいと思います。
彼の作品の中で最も有名な作品は「出現」という作品です。
この作品は全体の構図もそうですが、サロメという女性の緻密さ衣装は完璧といっていいほど精巧に描写されており、背景の壁の模様一つとっても非常に精巧に書かれています。
この作品は水彩による作品ですが実はギュスターヴ・モローは油彩による同じ作品を作成していますが水彩の作品に比べるとはるかに劣化しているようにも感じます。
ちなみに水彩画の出現の作品は1878年のパリ盤語句博覧会に出品されました。
現在はルーヴル美術館に所蔵されています。
宗教画の多くは同じような絵がいくつかありますがこの作品の主題はルネサンス以前から多くの画家によって描かれておりその多くは、ヨハネの首がのった盆を持つサロメを描いたものです。
これは、新約聖書にも確かに記述されています。それに対しモローは、サロメが踊りを舞っているときに、ヨハネの首の幻影が、突然現れるさまを描いています。
このことは、サロメの意識にだけ起こっていて、背景の王や王妃、そして楽器の演奏者や衛兵などは、気がついていないようです。
ほかの作品と大きく違う特徴としてはサロメがまとった衣装です。
描かれた衣装の精巧さは見るものを圧倒し、引き込みます。またそこに不自然に光る生首があるという現実から乖離した状況を理解するためは作品の背景を学ぶとともに作者のギュスターヴ・モローについても知る必要があるかもしれませんね。
それではまた。
阿加井秀樹