美術鑑賞を嗜む生き方 阿加井秀樹

はじめまして、阿加井秀樹と申します。趣味は美術鑑賞です。いただいた美術品が私にとって声も出ないほどの感動を与えました。その感動を皆さんにも伝えたいそんな気持ちでこのブログを書き記してまいります。

「聖フランシスコ・ザビエルの奇蹟」

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みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

今回ご紹介する作品はルーベンスの大作といわれている「聖フランシスコ・ザビエルの奇蹟」という作品についてです。

この作品はイエズス会の依頼により「聖イグナティウス・デ・ロヨラの奇蹟とともに二聖人の聖列の前に制作されており、交代で主祭壇を飾ったこの作品は、イエズス会創始者であるイグナティウス・デ・ロヨラの片腕であり、父なる神に自身の実を捧げた最初のイエズス会士のひとりで、東アジアを中心にキリスト教を伝導した日本でもなじみ深い宣教師聖フランシスコ・ザビエルの伝記に記されるさまざまな奇跡的な所業を描いた作品で、ルーベンスの1610年代を代表する大作として数えられています。

画面右側上部に青年僧を一人従え、台座に立ち様々な奇蹟を起こしている聖フランシスコ・ザビエルの姿が配され、それと対応するかのように、画面内の到る箇所でそれらが示されています。

聖フランシスコ・ザビエルの上部では、天使らが舞い降りながら父なる神の威光によって異教の像が破壊され、異教の神殿に集う異教徒たちを駆逐しているほか、聖フランシスコ・ザビエルと対角線上にある画面左下部分では埋葬されようとする死人が蘇っています。

また聖フランシスコ・ザビエルの真下には盲人や足なき人、悪魔憑きなど治癒を求め集まっている様子です。

僅かに異国的風情や風俗を感じさせる本場面内の細部の描写は、聖フランシスコ・ザビエルが伝道した東洋の情景の表れであるものの、本来の東洋的風情とは異なり、幻想性や創造的描写が強く反映されています。

登場人物の質感に富んだ肉体表現や運動性、奇蹟を目撃し驚愕する民衆の劇的な場面描写などは、画家の優れた表現力を示す典型的な例のひとつです。

それではまた。

阿加井秀樹