美術鑑賞を嗜む生き方 阿加井秀樹

はじめまして、阿加井秀樹と申します。趣味は美術鑑賞です。いただいた美術品が私にとって声も出ないほどの感動を与えました。その感動を皆さんにも伝えたいそんな気持ちでこのブログを書き記してまいります。

阿加井秀樹が紹介するアンリマティス②

みなさんこんにちわ

阿加井秀樹です。

 

アンリ・マティス「大きい赤い室内」をご存知でしょうか。

f:id:akai_hideki:20210127141319j:plain

床も壁も赤い部屋に、大きな絵が壁に2枚並んでいます。

 

二つのテーブルの上には植物があり、床には動物らしき敷物。

 

白黒の絵が外の景色のようにも見えて、

空想と現実をさまよう感覚になります。

 

真ん中の椅子に座れば絵・植物・動物を見ながら思索にふけられそうな気がします。

 

アンリ・マティスは生涯にわたり、

アトリエや旅先を含めて「室内」をテーマにした作品を描きました。

 

「室内」というテーマは、マティス作品において一つのカテゴリーを築いています。

 

長年さまざまな表現の変遷を経てマティスは「室内」を主題に制作を続け、

本作品は晩年のマティスが室内を描いた最後の一点です。

 

全体を赤が支配する中、画家はペアとなるオブジェの並置や対比を楽しんでいるようです。

 

2点の絵画、2台のテーブル、2枚の動物の毛皮さらにはカタチや色、モティーフが異なるオブジェが対で描かれますが、

色やかたちは異なり、絶妙なバランスで保たれています。

 

動物の毛皮にいたっては、まるで生きているかのようにユーモラスに描かれています。

 

黒い輪郭線は強烈な赤い背景から浮き出るかのように表現されて、

全体の絵画空間を構成しています。

 

マティスは豊かな色彩の中でも特に「赤」を多用した画家でした。

 

しかしながら、マティスがこの作品を制作した時の写真が残っており、

それによると、壁の色は当初「赤」ではないことが分かりました。

 

途中で変えたのは、オブジェ固有の色彩を描くのではなく、

画家が描く時の情感に響き合う色彩を選んだという見方もできます。

 

それではまた。阿加井秀樹