美術鑑賞を嗜む生き方 阿加井秀樹

はじめまして、阿加井秀樹と申します。趣味は美術鑑賞です。いただいた美術品が私にとって声も出ないほどの感動を与えました。その感動を皆さんにも伝えたいそんな気持ちでこのブログを書き記してまいります。

阿加井秀樹が紹介するスラヴ叙事詩

みなさんこんにちは。

阿加井秀樹です。

 

今回ご紹介する作品は「スラヴ叙事詩」です。

 

チェコの画家アルフォンス・ミュシャによって1910年から1928年にかけて描かれた壁画サイズの作品で、スラヴ民族の歴史やスラヴ神話など全20作品から成り立っています。

 

オーストリアハンガリー二重帝国の支配下にあったチェコ民族意識に目覚め始めたころ、さまざまな芸術家や著者が、自国の文化や歴史を様々な分野で表現していました。

 

そして1900年のパリ万博でボスニア・ヘルチェゴビナ館の装飾を手掛けたミュシャは、その時スラヴ民族のことを調べたことをきっかけに「スラヴ叙事詩」を制作することを決めたと言われています。

 

中には最大で高さ6メートル、幅8メートルから成る作品もあり、迫力のある作品であることは言うまでもないでしょう。

 

色の明暗がはっきりと分かれており、個人的には暗い色合いのなかに照らし出される光の部分の色使いがとても魅力的に感じます。

 

色使いだけでなく、人や建物、衣類など細部にまでこだわって丁寧に描かれているので目を凝らして見てみるのもいいですし、

 

 

超大作なので1枚1枚の作品を想像しながら見るのもまた面白いかもしれません。

 

 

それではまた。阿加井秀樹

阿加井秀樹が紹介するルエルの眺め

みなさんこんにちは。

阿加井秀樹です。

 

今回ご紹介する作品は「ルエルの眺め」です。

 

印象派を代表するクロード・モネの作品で、1858年に描かれ、現在は埼玉県立近代美術館に所蔵されています。

 

モネの出発点といっても過言ではない作品ですが、それゆえにあまり有名な作品ではありません。

モネは小さいころから絵がうまく、近所で有名になるほどでした。

 

その才能を一目で見抜いていた風景画家のウジェーヌ・ブーダンは、

出会って間もないモネを何度もデッサンに誘い戸外で絵を描くようになります。

 

この「ルエルの眺め」は、ル・アーブル近郊にある小さな村を訪れたときに見た、ルエルという川の風景を描いたものと言われています。

そしてこの作品はモネが初めて出展用に描いた油彩画でもありました。

 

水面に映る木々や生い茂る緑、雲が入り混じる青空など細部まで緻密に描かれたこの作品を誰が初めて描いたと思うでしょうか。

 

ブーダンの影響を受けて描いた作品なので、

印象派と呼ばれるモネの独特な筆遣いは感じられませんが、

それはそれでとても貴重な作品といえるのだと思います。

 

 

印象派と呼ばれる前の作品も、もっと見る機会を増やしていきたいと思います。

 

 

それではまた。阿加井秀樹

みなさんこんにちは。

阿加井秀樹です。

 

今回ご紹介する作品は「花瓶の花」です。

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フランスの画家、オディロン・ルドンによって制作された作品でニューヨーク近代美術館に所蔵されています。

 

ルドンが描く花の絵はどれも息を飲むような美しさで、

中でもこの作品はカラフルで優雅な画風が印象的です。

 

花は繊細な形をしていて、明るい非現実的な光を放っているように見えます。

彼の願いは、自然を客観的ではなく不確実な夢のように転換することであったそうです。

 

ルドンはまた、次のように書いています。

 

「芸術は、あらゆるルールから解放され、自由に開花する花である。私はこのほとんど動物か何かのような花のイメージを好んでいる。それは自分自身を表している」

 

かっこいい言葉ですね。

青色の色彩もとても美しく花瓶の花のそれぞれの色を強調しているかのようにも見えます。

 

結果的にその青色が全体を引き締めているようにも見て取れます。

彼の作品はどれも独創性に優れており一度作品を見たら目を離せなくなるほどの魅力があります。

 

また、彼の描いた作品の中には日本と関わりの深い作品もあります。

 

例を挙げれば花瓶に描かれた模様が刀を構える若武者が描かれている作品もあります。ぜひ一度みてみてください。

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それではまた。阿加井秀樹

阿加井秀樹が読み解く日本画と西洋画

みなさんこんにちわ

阿加井秀樹です。

 

みなさんは日本画と西洋絵画の違いは意識したことがありますか?

 

西洋の絵画ではルネサンス頃から写実絵画というものが流行り出しました。

 

写実とは対象物をそっくり本当に存在するかのように描くことです。

 

西洋文化には論理、美、調和という概念が存在します。

 

この要素を絵画に持ち込んだのが西洋美術です。

西洋美術では遠近法を使い遠近の対象の違いを描き分け、

絵画の中に現実に対象が存在するように描くことが尊重されました。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はまさに写実を象徴する作品ですね。

 

一方日本絵画では日本人特有の情緒を心象風景として描きます。

心象風景とは現実に存在する風景ではなく、

心の中に存在する風景の事を指します。

 

情緒を表わす絵画なので、

そこに描かれる絵は人の心を癒すような静けさ、広がりがあります。

 

日本画と西洋絵画どちらも芸術作品になりますが、

人によっては日本画の良さを理解できない方がいます。

 

”リアルさ”を追及した西洋絵画は、

世にカメラが登場してから西洋絵画の表現方法が一新されたのはご存知でしょうか。

 

ただ見たものを写真のように表現するのは、”芸術”と呼べるのか。

 

たしかにそのような観点から絵を見てみると、

ピカソはなぜ有名な画家になったかなんとく理解できる気がします。

 

アンリ・マティスなどの作品でも、

豊富な色使いで絵を表現しています。

 

じっくり観察することで、

作品の素晴らしさを心で感じることができること自体が現代アートの真髄なのではないでしょうか。

 

それではまた。阿加井秀樹

 

 

阿加井秀樹が紹介するアンリマティス②

みなさんこんにちわ

阿加井秀樹です。

 

アンリ・マティス「大きい赤い室内」をご存知でしょうか。

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床も壁も赤い部屋に、大きな絵が壁に2枚並んでいます。

 

二つのテーブルの上には植物があり、床には動物らしき敷物。

 

白黒の絵が外の景色のようにも見えて、

空想と現実をさまよう感覚になります。

 

真ん中の椅子に座れば絵・植物・動物を見ながら思索にふけられそうな気がします。

 

アンリ・マティスは生涯にわたり、

アトリエや旅先を含めて「室内」をテーマにした作品を描きました。

 

「室内」というテーマは、マティス作品において一つのカテゴリーを築いています。

 

長年さまざまな表現の変遷を経てマティスは「室内」を主題に制作を続け、

本作品は晩年のマティスが室内を描いた最後の一点です。

 

全体を赤が支配する中、画家はペアとなるオブジェの並置や対比を楽しんでいるようです。

 

2点の絵画、2台のテーブル、2枚の動物の毛皮さらにはカタチや色、モティーフが異なるオブジェが対で描かれますが、

色やかたちは異なり、絶妙なバランスで保たれています。

 

動物の毛皮にいたっては、まるで生きているかのようにユーモラスに描かれています。

 

黒い輪郭線は強烈な赤い背景から浮き出るかのように表現されて、

全体の絵画空間を構成しています。

 

マティスは豊かな色彩の中でも特に「赤」を多用した画家でした。

 

しかしながら、マティスがこの作品を制作した時の写真が残っており、

それによると、壁の色は当初「赤」ではないことが分かりました。

 

途中で変えたのは、オブジェ固有の色彩を描くのではなく、

画家が描く時の情感に響き合う色彩を選んだという見方もできます。

 

それではまた。阿加井秀樹

阿加井秀樹が読み解く緑のすじのあるマティス夫人

みなさんこんにちわ

阿加井秀樹です。

 

本日は20世紀前半を代表するフランスの画家アンリ・マティスについて。

 

現代アート「緑のすじのあるマティス夫人」は、

顔の真正面が緑色に塗られています。

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向かって右半分は薄い赤色、左半分は薄い黄色、髪は濃紺、背景の右半分は緑、左の上半分は紫、左の下半分は赤とさまざまな色が使われており、

現実とは違う色使いです。

 

それから色面は、べったりとした平面的。

筆跡は、筆の動きがわかるほどはっきりと残っています。

 

細部は、お世辞にも丁寧とはいえない塗り方だと思います。

これらは、現実離れした色使い、遠近法の無視、粗雑な筆致、大胆なデフォルメ...とんでもない絵とも言えます。

 

なぜマティスはこのような色使いをしたのでしょうか。

マティスは、特に色彩については、ただ単に現実らしく見えるように使うのではなく、色彩それ自体に表現する力があるとみなしました。

 

とりわけ、人間の内的感情や感覚を表現するのに色彩は重要で、

色彩の組み合わせ次第で見る人は静かな印象を抱くこともあれば、

激しい印象を抱くこともあり、

色彩の自律的な世界を追究した結果だといわれています。

 

つまりは、マティスは現実を正確に描くつもりは毛頭なかったわけです。

 

現代アートを伝統的な見方で見ようとしなければ「ん?こういうのも面白いかもしれないな」と興味がわくかもしれませんね。

 

それではまた。阿加井秀樹

 

阿加井秀樹が伝える壮絶な人生が描く究極の美 バルト海の十字架

みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

 

今回ご紹介する作品はバルト海の十字架という作品です。

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本作品はロマン主義を代表する宗教的風景画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒが描いた作品です。

 

フリードリヒは、少年期に母を亡くし、

弟も自分の身代わりとして亡くしております。

 

その心の傷から鬱が高じて自殺を図った事があるともいわれております。

 

また1789年、

隣国のフランス革命などの激動の時代に青春を迎え、

30代には、ナポレオンのドイツ支配を経験しております。

 

後年はウィーン体制下の抑圧された時代に生きたといわれています。

 

同世代人にヘーゲル、ベートーベン、シュレーゲル、ルンゲ、また、カント、ゲーテ、シラーなど作品は、

自然の風景、それも高みや遥か彼方を見据えるもの、

廃墟になった僧院、墓地、古代の巨石墓、槲の木などがよくモチーフとして取り上げられております。

 

本作も同様の観点から見える景色があります。

 

彼の作品はどこかネガティブな作品が多く、

本作品からは彼が生きたであろう、

世界の憂鬱館や、悲しみが見て取れます。

 

バルト海は俗にいうバルト三国の時代の話で、

戦争や飢餓が絶えなかったといわれています。

 

そのような話を耳にしてから本作品を見ることで、

いろんな考えがめぐるのではないでしょうか。

 

実は風景画の中に、

宗教的、政治的、精神的な意味を込めフリードリヒ自身は、

ほとんどの作品に題名らしい題名を与えていないため、

ここに記述した題名のほとんどが、

後世に付けられたよ言われています。

 

それではまた。阿加井秀樹