みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
今回もカラヴァッジョの作品から一つご紹介していきたいと思います。
今回ご紹介する作品は「トランプ詐欺師」というタイトルの絵画です。
この作品は1594年頃に描かれた絵画で、原作の他にもいくつか複製を残した可能性はもちろんありますが、原作の「トランプ詐欺師」はキンベルアートミュージアムにて、1987年より保管されているといいます。
「トランプ詐欺師」という作品は、カラヴァッジョにとって重要なマイルストーンとなったといわれています。カラヴァッジョはこの作品を、ジュゼッペ・チェザリのワークショップを離れ、画家として独立しようとしていた時期に完成させ、ディーラーであるコンスタンチーノとグロテスク画家のプロスペロ・オルシの力を借りながら、自分の作品を売り、生計をたて始めた時代のものです。
自らの絵を売り始めたのを契機に、カラヴァッジョはカーディナル・フランチェスコ・デル・モンテ等の、後に大事なパトロンやコレクターとなる人と出会い始めたそうです。
「トランプ詐欺師」には、高そうな服を着飾った少年と、世間離れした風貌の少年がトランプをしているシーンが描かれています。
右側に描かれている人は、「トランプ詐欺師」で、余分なカードを自らの背中に忍ばせているシーンです。その横で、悪い顔をした中年の男性が、トランプの対戦相手の手札をこっそり後ろから見て、相手にばれないように「トランプ詐欺師」に手札の中身を手で合図して教えています。
この「トランプ詐欺師」という作品は、カラヴァッジョの他の作品である「女占い師」と並んで、彼の作品の高い評判を世に知らしめることになりました。
それではまた。
阿加井秀樹