「着衣のマハ」について
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
今回はこのブログでも何回かご紹介させていただいている画家のフランシスコ・デ・ゴヤが手掛けた「着衣のマハ」という作品についてご紹介していきます。
この作品の特徴は主人公ともなっているマハの表情かと思います。どこか哀愁も感じられる素朴な瞳からは作品に引き込まれる魅力を感じさせます。
また、当時の時代背景も大きく描かれており 当時スペイン国内の貴婦人が愛用し流行していた異国情緒に溢れたトルコ風の衣服。
本作と「裸のマハ」は画家の重要なパトロンのひとりで、権力を手にしてから皇太子や民衆を始め様々な方面から非難を浴びせられた宰相ゴドイが所有しており、その為、一般的にはこの2作品は宰相ゴドイが制作を依頼したものだとする説が採用されています。
またゴヤ特有のやや大ぶりな筆触による繊細ながら表情豊かな表現も特徴的ですし、色彩においても黒色、金色、緑色、紅色、茶色、白色などを用いた独特の配色によってトルコ風の衣服の雰囲気や質感を見事に表現しています。
私阿加井秀樹としてもこの作品は好きな作品の一つでもあります。
モデルについては古くからアルバ公爵夫人マリア・デル・ピラール・カイェタナとする説が唱えられていますが、フランシスコ・デ・ゴヤが残したアルバ公爵夫人の素描や肖像画の顔と比較し、あまりに異なる点があるため否定的な意見を述べる研究者も少なくなく、現在では宰相ゴドイの愛人ペピータとする説なども有力視されています。
多くの絵画で描かれている「人」のモデルは誰なのかわからないケースが多々あります。モデルについて考えていくことも絵画を楽しむポイントなのかもしれませんね。
それではまた。
阿加井秀樹