「生々流転」
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
本日ご紹介する作品は横山大観の生々流転という作品です。
明治から昭和にかけての日本画家で、水戸藩士酒井捨彦の長男として水戸生まれました。
明治21年横山家の養子となり、26年東京美術学校の第1期生として卒業をし、29年に東京美術学校助教授となりました。
30年代に試みた没線描法をはじめ日本画の近代化を積極的に実践し、五浦の苦難時代を経て、大正3年下村観山らと日本美術院を再興したのです。
特に没線描法である朦朧体を確立させたのは大観の一番大きい功績の一つと言えます。
特に本作品は大観の代表作でもあり全長約40メートル、日本一長い画巻にして重要文化財という、注目すべき作品です。
万物は絶えず生まれ、変化し、移り変わっていくことを意味する生々流転というタイトルを冠した本作は、水の一生を高度な水墨画技法で描いています。
山あいに浮かぶ雲からひと雫の雨が生まれ、地面に落ちて流れ、川になり、人間やあらゆる生物の生活を潤し、やがて大河になり、海に合流し、龍が舞う荒れた海から再び雲になる、というものです。
豊かな水とともに生きてきた日本人にとって、水の一生は人の一生とともにあるものでもあります。
全長40メートルの中に大観のメッセージが詰まっています。
同じ自然の一部として、人の在り方にも問いを投げかける作品かもしれません。
それではまた。
阿加井秀樹