美術鑑賞を嗜む生き方 阿加井秀樹

はじめまして、阿加井秀樹と申します。趣味は美術鑑賞です。いただいた美術品が私にとって声も出ないほどの感動を与えました。その感動を皆さんにも伝えたいそんな気持ちでこのブログを書き記してまいります。

ヨハネス・フェルメール作品「娼婦」

 

みなさんこんにちは阿加井秀樹です。

 

ヨハネス・フェルメール「娼婦」という作品をご存知でしょうか?

ヨハネスは17世紀オランダ絵画黄金期において多数の名画を残してきました。

その中で、「娼婦(取り持ち女)」という作品は、重要な基準作のひとつとなります。

 

「娼婦(取り持ち女)」は現存する画家の全作品の内、署名が残される3作品のひとつで、1656年と最も初期に手がけられたものです。

 

本作に描かれるのはおそらく宿屋で客を取る娼婦と、買う男達であるが、新約聖書の中の一場面で、父の下を去り宿屋で娼婦との遊びを楽しむ息子との関連性や連想性を多くの研究者が指摘しています。

 

同時代には宗教画がよく描かれていましたが、ヨハネスの「娼婦(取り持ち女)」が出たことで風俗画に影響される画家がたくさん増えたそうです。

 

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「娼婦(取り持ち女)」の場面の中で娼婦を後ろから抱く男の左手は、娼婦の乳房を掴み、右手では金貨を渡そうとしています。また娼婦も右手で金貨を受け取る仕草を見せるほか、左手ではワイングラスを手にしています。

 

フェルメール独特の静ひつな空間構成や繊細な光の表現は本作ではまだ本領を発揮するには至っていないものの、このような人物が見せる瞬間の動作や表情を捉えた表現は、当時23歳であった若きフェルメールの高い描写技術を示すものです。

 

なお根拠はないものの伝統的に画面中、左端でこちらを向いている男がフェルメールの自画像とされているようです。面白いですね。

 

それではまた。

阿加井秀樹

 

カラヴァッジョ作品「女占い師」

 

みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

 

さて、連続してカラヴァッジョの作品を紹介してきましたが、先日のブログの中で最後に「女占い師」という作品を少し触れましたが、今回はその「女占い師」という作品についてみなさんにご紹介していきたいと思います。

 

この作品はカラヴァッジョの初期におけるもっとも有名かつ傑作と称される作品の一つです。

 

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「女占い師」にはバージョン違いが2種類あり、原作は1594年に描かれ、現在はローマのカピトリーノ美術館に展示されており、2枚目は1595年に描かれ、現在はパリのルーブル美術館に展示されています。

 

「女占い師」には、おしゃれな洋服を身にまとった少年が、自分の手のひらを、ジプシーの少女に見せている姿が描かれています。少年は少女の顔を満足そうに見つめ、少女も少年を見つめ返している。しかし、よく絵を見てみると、少女は少年の手を握りながら、彼の指からこっそり指輪を抜いており、少年はそれに気が付いていない様子にも見て取れます。占い師といいつつも詐欺に近い瞬間をとらえています。

 

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「女占い師」と「トランプ詐欺師」は、1954年に描かれたカラヴァッジョの2つの風俗画として知られていますね。

 

「女占い師」は「トランプ詐欺師」よりも前に描かれ、カラヴァッジョがジュゼッペ・ツェザリのワークショップを離れて、自分で絵を売って生計を立てていくことを決めた時期と重なるといわれています。

 

それではまた。

阿加井秀樹

 

 

「トランプ詐欺師」について

 

みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

 

今回もカラヴァッジョの作品から一つご紹介していきたいと思います。

今回ご紹介する作品は「トランプ詐欺師」というタイトルの絵画です。

 

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この作品は1594年頃に描かれた絵画で、原作の他にもいくつか複製を残した可能性はもちろんありますが、原作の「トランプ詐欺師」はキンベルアートミュージアムにて、1987年より保管されているといいます。

 

「トランプ詐欺師」という作品は、カラヴァッジョにとって重要なマイルストーンとなったといわれています。カラヴァッジョはこの作品を、ジュゼッペ・チェザリのワークショップを離れ、画家として独立しようとしていた時期に完成させ、ディーラーであるコンスタンチーノとグロテスク画家のプロスペロ・オルシの力を借りながら、自分の作品を売り、生計をたて始めた時代のものです。

 

自らの絵を売り始めたのを契機に、カラヴァッジョはカーディナル・フランチェスコ・デル・モンテ等の、後に大事なパトロンやコレクターとなる人と出会い始めたそうです。

 

「トランプ詐欺師」には、高そうな服を着飾った少年と、世間離れした風貌の少年がトランプをしているシーンが描かれています。

 

右側に描かれている人は、「トランプ詐欺師」で、余分なカードを自らの背中に忍ばせているシーンです。その横で、悪い顔をした中年の男性が、トランプの対戦相手の手札をこっそり後ろから見て、相手にばれないように「トランプ詐欺師」に手札の中身を手で合図して教えています。

 

この「トランプ詐欺師」という作品は、カラヴァッジョの他の作品である「女占い師」と並んで、彼の作品の高い評判を世に知らしめることになりました。

 

それではまた。

阿加井秀樹

 

『リュートを弾く若者』について

 

みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

 

今回みなさんに紹介する絵画はあまり馴染みのない作品ですが、とても繊細で見ているものを魅了する私、阿加井秀樹も好きな作品の一つです。

 

彼の名前はカラヴァッジョと言います。カラヴァッジョと聞くと一度聞いたことがある人だなと思う人もいるかもしれませんが、その中の傑作リュートを弾く若者』という作品です。

 

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この作品には初期様式によく見られる譜面やヴァイオリン、水差し、生け花、果物などの静物が配され、また主題となるリュートを弾く若者は虚ろ気にこちらを見つめ、その手はリュートを奏でており、その表現はいずれも圧倒的なリアリズムが示されています。

 

絵画の中心であった宗教画と、本作のような風俗画の二種を描くことを試みていたローマに到着して間もないカラヴァッジョの青年期の作風は、青年又は少年を思わせる若々しい男子に、病的にも思える虚実な表情を浮かべて描かれており、これは画家の内面を示すものとして捉えられています。

 

カラヴァッジョのこの年代の多くの作品がどこか同上人物が闇を抱えているかのような虚ろな目をしていることが多く、それがまた、この年代らしい思春期とも言えるのでしょうか。

 

これはこの絵を見た方それぞれの捉え方がある面白い作品ですね。

 

 

それではまた。

阿加井秀樹

 

 

高額絵画について

 

みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

 

今回は少し嗜好を変えて美術関係にまつわるニュースをご紹介致します。

 

ZOZOの前澤友作社長が1.1億ドル(約124億円)でバスキア現代アートを購入したり、アブダビの王族が4.5億ドル(約507億円)でレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画を購入したと、お金持ちによる絵画の購入がニュースとなっています。

 

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なぜそれほど高いのか?

美術センスがなかったらそれほど価値って感じられないんではないでしょうか。

「お金が有り余っていて、カネが使いきれないほどあるのか」、「節税対策としての絵画の購入か」様々な意見がネットで飛び交っています。

 

今も昔も世界的に有名な絵画は、絵画としての魅力以外に投資対象としても重宝されています。昔から大体高額になるような絵画は、世界中の主要なオークションで出品されています。

 

かの有名なゴッホノワールといった作品もバブル期は数十億円で取引されていたものが、今では200億円以上だしても購入したいという人が何人もいるようです。

 

バブル期で高値掴みと思われていた作品が30年の時間を経て数倍に価格が上昇しているほど、世界的に有名な巨匠たちの作品は長い期間で上昇しています。

 

ちなみに主にマーケット主導をするのは、アジアのコレクターだそうです。中国人のコレクターが昨今ではマーケットを手動しているようで、人気な作品が草間彌生の作品。日本でも有名なアーティストですよね。

 

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彼女の作品においては、04年の作品の価格が20~30倍に値上がりしているそうです。

絵画は美術品としての魅力と投資としても奥深いものだったというのはご存知でしたでしょうか?

 

私もいくつか絵画を持っていますが、その絵画の価値が上がるのが楽しみです。

 

 

それではまた。

阿加井秀樹

 

 

 

重要文化財『竹梅図屏風』について

 

みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

 

前回は尾形光琳の作品をご紹介致しましたが、今回も国宝レベルの作品をご紹介致します。尾形光琳が手がけた屏風絵の傑作のひとつ、重要文化財『竹梅図屏風』についてです。

 

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竹梅図屏風は宋代より始まる中国文人画で好まれた画題のひとつ歳寒三友(さいかんのさんゆう)、松・竹・梅のうち、竹と梅を描いた作品で、遅筆で力強く描かれた凛と天に向かい伸びる竹の姿の表現と、速筆で軽やかに描かれた素実な梅の表現は、画面において対照的でありながらも紙本金地着色の余白を存分に活かし、極めて高度な統一性を感じます。

 

このような光琳の表現手法によって表現される、豪華かつ装飾的でありながら、上品で優美な雅性や、ある種の静寂性・思想性をも感じさせる独特の世界観によって観る者を圧倒します。

 

歳寒三友とは、寒中にも色褪せないこと、また寒中に花開くことから、冬の寒さに堪える三種の植物として精錬潔白・節操という、文人の理想を表現したものとされるも、室町時代に伝わり、江戸時代に庶民の間でも流行した日本では、喜び祝うに値する様や美しい様を表すものとして解釈・表現された画題で、今日の日本において最も親しまれる画題のひとつとして、深く人々の生活・文化に根付いています。

 

 

それではまた。

阿加井秀樹

 

 

尾形光琳作品、国宝「燕子花図屏風」

 

みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。

 

今回ご紹介する作品は尾形光琳燕子花図屏風です。この作品は尾形光琳が40代前半頃に手掛けたとされる国宝です。

 

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燕子花図屏風は平安時代に成立した、最も著名な日本の歌物語のひとつ伊勢物語の第九段「八橋」の場面を描いた作品で、光琳は生涯中しばしば、この燕子花を意匠とした作品を手がけていることが知られていますが、燕子花図屏風はその中でも随一の代表的作品としても名高いです。

 

伊勢物語

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伊勢物語では、三河国の八橋(現在の愛知県知立市八橋町近辺。水が蜘蛛の手のように分かれて流れているために、八つの橋を渡したことから八橋と名付けられたとされています)の沢のほとりに燕子花(カキツバタ)が美しく咲いていたと記されているが、燕子花図屏風ではその美しく咲く燕子花のみに主点を置いて「八橋」の場面が描写されています。

 

金地に栄える群青(燕子花の花部分)と緑青(燕子花の茎草部分)の軽妙明快で清々しい色彩、画面の中で心地よい旋律を奏でるかのような、律動的に配される燕子花の群生、そして、その燕子花の左隻と右隻での構図的対比の美しさは観る者の目を奪うばかりです。金地の余白の無限的空間の広がりや奥行き感は彼だからこそ成しえた美なのではないかと思います。

 

 

それではまた。

阿加井秀樹