再発見された夜の画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 阿加井秀樹
阿加井秀樹です。
みなさんこんにちは。
こういった絵を見ていると、自分も絵を描きたくなるときがあります。
どういった気持ちでこの絵に取り組んでいるのかわかるような気がするのですが、
模写したとしても同じようにはいかないですし、気持ちもピンとこないですよね。
今回は「大工の聖ヨセフ」を代表作品にもつ
「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール」を紹介します。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールは、フランスのロレーヌ地方で17世紀前半に活動し、
キアロスクーロを用いた「夜の画家」と呼ばれるています。
ラ・トゥールはその確かな実力でフランス王ルイ13世の「国王付画家」の称号を得たことがあり、著名な画家でしたが、
次第に忘却されていき、20世紀初頭に「再発見」された画家です。
そのため、残された作品が少なく、生涯についてもあまり詳しいことがわかっていない謎の多い画家です。
絵調は明暗の対比を強調する点に他の画家の影響が伺えますが、
単純化・平面化された構図や画面にただよう静寂で神秘的な雰囲気は独自のものであとされています。
大工の聖ヨセフは画面全体を包み込む蝋燭の光で、
より静謐で神秘的な印象を与えています。
聖ヨセフは両手持ちのキリを用い穴を開ける大工作業をおこないながらも、
その視線をイエスに向けていて、
その傍らで幼子イエスが蝋燭を手に、義父聖ヨセフの仕事を晧々と照らしており、
互いの深い精神的な繋がりが表現されている絵です。
明暗の対比がはっきりしている分、ぱっと見ではわかりにくい部分がありますが、
目を凝らして見ることで、新しい発見が生まれる作品です。
では、また。
阿加井秀樹