「食前の祈り」
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
今回ご紹介する作品はジャン・シメオン・ジャルダン「食前の祈り」です。
「食前の祈り」は手前にいるやっと祈りの言葉を覚えた弟が食事の前に祈りを捧げようとしているところを母親と姉が暖かく見守っている日常が描かれている絵画です。
背景の色も暖色を用いており、見ているだけで哀愁は感じつつもこの親子の幸せな一面が見て取れます。
この絵画からは、当時のフランスの厳格な日常を垣間見る事ができます。
背景が暗いのに対して人物は明るく描かれている事から、母親と姉の暖かさ、弟が一生懸命祈りを捧げようとしている姿がより強調されていると私は思います。
この絵画の作者であるジャン・シメオン・ジャルダンは、1699年の18世紀、フランスパリ出身のロココ時代フランス絵画の巨匠です。
1718年から画業を始め、1733年頃から風俗画を描き始めます。その多くがこの「食前の祈り」のような日常を描いたものでとても高く評価されています。
この絵画が描かれたのは1740年だそうです。
ちなみにこの年はフランスでは凶作だったといわれています。
今では食事ができることが当たり前になっていますが、食事をするだけでも恵まれた環境にいることを再認識することができる作品のひとつだと思います。
それではまた。阿加井秀樹