「班猫」
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
本日ご紹介する作品は竹内栖鳳の班猫という作品です。
竹内栖鳳は戦前京都に生まれ幼少期の頃から絵を学び、彼の画風はそれまでにはあまりなかった西洋の画風を日本の絵画に取り入れることをし、日本の絵画史の片鱗を担った人物です。
また、日本で初めて文化勲章を受章された人物としても有名です。
その中でも班猫は見ているだけで動きそうと言われるほどの躍動感、繊細さがあります。
旅先の沼津で見かけた猫に栖鳳が一目ぼれし、飼い主の八百屋のおかみさんと交渉の末、譲り受けて京都まで連れ帰って描いたというエピソードが残されています。
栖鳳によれば、猫を見た瞬間に中国宋代の皇帝徽宗が猫いた猫図を想起し、表現欲が湧いてきたということです。
無背景の画面に猫のみを配し、余白を効果的に活かした構図や、見る者に視線を向ける印象深い瞳に金泥を用いている点に、栖鳳の日本と中国の古画研究の成果が発揮されています。
京都画壇の伝統に学びながら、対象の実物観察と徹底した写生に重点を置き、猫が身体を舐める仕草や一瞬見せた表情を的確に切り取って絵にしたところに栖鳳の近代性を見て取ることができるといえます。
またこの作品はその魅力から現在では国の重要文化財に指定されており山種美術館に貯蔵されています。
一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
それではまた。
阿加井秀樹