平成の美術を振り返る
みなさんこんにちは。阿加井秀樹です。
まだまだ実感はありませんが、平成の時代が終わってしまいましたね。
では平成の時代の美術はどのような特徴を持つのでしょうか。
半世紀前は絵画、彫刻など美術の分野には確固たる枠組みがあり、おおかたそれに収まっていましたが、平成はすべてを飛び越え、のびのびとして多くの人を巻き込み、誰でもが楽しめるものへと向かっていきました。
絵画、彫刻といった既存の分野の境界がなくなり、表現も大きく広がりました。空間全体を使って表現するインスタレーションという言葉も盛んに使われ定着しています。必然的に発表の場も美術館から離れ始めています。
その好例が新潟県の越後妻有地域を舞台にした「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」といえるでしょう。
展示・表現の舞台は廃校や使われなくなった工場、さらに林や田んぼなどに及んでおり、里山の自然に触れ、地元の郷土食を味わいます。7回目となった昨年の総来場者数は延べ約55万人。中国など外国からもやってくるようになり、町おこしに大いに貢献していると言えるでしょう。
また、肩肘張らず、ゆるく遊びながら見るという、美術が楽しいものになりました。例えば、それはアーティストやエンジニアらで構成されたチームラボのデジタル・アートにつながっています。
デジタル技術を駆使した作品は、訪れた人が絵を描いたりすると作品の中に取り込まれ、その場で映像化されます。創ることに参加する新しい形のアートなのです。このように美術が楽しいものになっているのが平成の特徴であると言えるでしょう。
アートの境界があいまいになり、気軽で身近なものに変わっていったのです。
では令和時代の美術はいったいどのように変化していくのか、これから楽しみですね。
それではまた。
阿加井秀樹