阿加井秀樹です。みなさんこんにちは。
以前にも少し触れたフランソワ・ブーシェについて、改めてお話したいと思います。
ロココの代表的な画家で、「ロココの帝王」と呼ばれたのがフランソワ・ブーシェです。貴族の肖像画や神話画を生涯に1000点以上、版画200点に素描10000点を描いただけでなく、舞台デザインや磁器の下絵なども行った多作の画家です。
装飾家の父のサポートによって画家に弟子入りするも長く留まることはなく、ブーシェの名前が世に出たのは1723年、イタリア滞在時代にローマ賞を受賞したことがきっかけです。それ以後、王立絵画彫刻アカデミーの準会員から正会員となり、やがて国王の筆頭画家となって王立絵画彫刻アカデミー院長にまで上り詰めています。
貴族の肖像画が多いのもそのような理由で、晩年は人格が否定されたり、死後30年は作品が評価されないこともありましたが、19世紀後半になると再評価されており、ルノワールはブーシェに影響を受けたといわれています。
そんな数あるブーシェの肖像画の中で最もよく知られているのが「ポンパドゥール侯爵夫人の肖像」でしょう。ポンパドゥール夫人は、平民の出でありながら、その美貌と高い教養ゆえに時の国王ルイ15世の愛妾となり、やがて公妾となって侯爵夫人の爵位が与えられた女性です。
「ポンパドゥール侯爵夫人の肖像」の夫人は知性的な美貌はもちろんのこと、軽やかかつ華やかなドレスを纏い、緻密に描かれたドレスのエレガントさは洗練されたロココ文化を表しており、フランソワ・ブーシェの描いた数ある肖像画の中でも最高の作品として評価されています。
では、また。
阿加井秀樹